午年


ハマモトさんとキクサキさんと飲んだ。 気の置けない感じがいい。 ハマモトさんとは初めて。 会話をした


のも実は初めてだった。 道場でお見掛けしてはいたものの会話をする機会がなかったからだ。 


ハマモトさんは73歳。 青帯を巻いて、額に汗して稽古をされている姿を私は見ていた。 半導体製造メーカー


で仕事をされていたという。 仕事を引退されてもう13年。 空手に闘志を燃やしておられる姿にどうしても


眼が向いてしまう。 だからと言って、それをひけらかすような方ではないところがまたいい。 話をしてみると


思っていた通りの方だった。 飾るところはもちろんない。 キクサキさんもそういう方だ。 


だから一緒にいて楽しい。 自分が73歳で極真空手の道場に通えるかと聞かれると、それは分からない


としか言えない。 それ以前にその年齢まで生きているとは思っていない。 だから、これから18年先も


スパーリングが出来る身体かと言われると全く分かったもんじゃない。 以前、聞きいてもいないのに


「あなたは72歳でパッタリ。それまでは線の太い人生だよ。」 とお節介にも、そのようなことをずけずけ言う


占い師がいた。 子供のことを聞いただけなのに余計なお節介だとは思いながらも、言われると、何だか


今の今まで、そんな気がしているのだから人間はおかしい。 だから73歳でスパーリングをされている姿


を見るだけで頭が下がる。 


そんな午年の73歳。 確か欽ちゃんも73歳だと今年の3月に言っていた。 欽ちゃんと同じ年は


俳優の石橋 蓮司さんも。 どうしたことか欽ちゃん⇔石橋蓮司が昔からつながって頭に浮かんでは消えていた。 

 

何で石橋蓮司さんかというと、きっかけはもうかなり以前のドラマ。 もう40年も前のもの。 高校生だったころ

 

に流行っていた「傷だらけの天使」。 そのドラマの第2話、「悪女にトラック一杯の幸せを」 に出ていた

 

緑魔子さんが当時の高校生には刺激的だった。 その旦那さんが石橋さん。 だからずっと羨やんでいた。 

 

酒の飲みながら、カウンダ―でふとそんな昔を思い出していた。

 

カウンターで飲んでいると、話題はもちろん空手のこと。 でも私の頭の中は傷だらけの天使の映像が

 

過っていた。 キクサキさんが言っていた。 「ハマモトさん、シニアの試合に出て下さいね」 

 

「いや、それは、ちょっと、、。」  と勘弁して欲しいと言わんばかり。

 

でも、もしか出られるとしたら、私はもちろん応援に行こうとこっそり思って居る。 当たり前のことだ。

 

12月で56歳になる。 今日は身体のどこそこの具合が悪い。 どこそこが痛い。 病気じゃあるまいか。

 

そんなことばかり思うのは無理もないだろう。 もうそんな年なのだ。 

 

極真の世界大会に出られた方が意外にも大病をされてる方が少なくない。 沖縄の七戸師範、松井派の

 

松井館長が軽い脳梗塞、新極真では埼玉の長谷川師範は先年50歳を前に他界され、奥村師範も病に倒れ

 

全日本覇者の桑島師範は脳梗塞に倒れられた。 何故だろう? 極真の実力者が50歳前後で病に出くわす

 

確率的に非常に高い。 確かに若かりし頃、無茶を無茶とせず、やり通して来られた方々だ。 それが40歳を

 

過ぎるころから身体が悲鳴を上げるということなのだろうか。 

 

しかし、我が身体、どこかが痛いの当たり前だ。 もうそんな年なのだ。 しかし人間の細胞レベルで観れば

 

0.1%ほどの不具合に過ぎない。 99.9%の細胞はしっかりと機能している。 だからこそ早寝をして

 

一晩寝れば回復もする。 

 

昨日は昨日、今日は今日。 昨日の苦労を今日まで持ち越すことはない。一日の苦労は一日だけで十分。

 

今日は今日の運命がひらけてくると信じて心新たに、素直に歩んでみるしかない。 

 

48歳で一般部の試合に出るキクサキさんも、73歳でスパーリングに参加されるハマモトさんも素晴らしい。

 

夢中に取り組めるものがあるとすれば、それだけで生まれてきた甲斐があったのではないか。

 

精一杯やった満足感も味わいつつ一日を終えることが出来たとするなら、これほどの喜びはない。 

 

この午年のお二人をみていると何だかそう思えてくる。 

 

戌年の自分も遅れをとる訳には行かないのは、そういう訳なのだ。 


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