第110回 医師国家試験


今日のこの日をどれほど待ったろう。


2月6日から三日間の試験はインフルエンザにかかっていやしないだろうか?


仕事をしながら、そして空手の稽古をしながら、ずっとそんなことを考えていた。


長男の中学入試では、志望の学校に合格するように祈った。


医学部入試では、どうぞ一校でもいいから受かりますようにと祈り


入学したら、留年などしませんようにと祈った。


しかしいくら祈ってみても勉強を疎かにした学生は留年するのだ。


神様は居ない、そう思って諦めた。


留年した翌年は、それこそ進級出来るように祈っていた。


体力勝負の三日間の卒業試験でも祈った。


どうか力を出し切れるようにと手を合わせていた。


そして医師国家試験が無事に終えられるように祈って


今日を迎えた。


第110回医師国家試験の合格発表は2016年3月18日 午後14時と決まっていた。


長男がお医者さんになりたいと言いだしたのは小1の6歳の頃だった。


振り返ると、その夢を実現するのに20年もかかったことになる。


14:02 メールが来た。


「合格してたよ」


今、長男は成田に向かっている。


オーストラリアに行くらしい。


6日前に他界した義父は今日のこの結果を知っていたのだろうか。


現在が変われば将来が変わる。


だから今を変えるんだとこの空手クラブの子供達にも言って聞かせてきた。


しかし、今日のこの日を迎え、それが間違っていることに気づかされた。


現在の心境が変わるだけで、忘れていた過去の楽しい記憶も思い出されて来たのだ。


そうだった、中高一貫校の受験や医学部受験は、決して辛い坂道ばかりではなかった。


現在が変われば将来も、そして過去も変わるのかもしれない。


長男は少々回り道をしたけど、それが彼らしい。


多少の寄り道があればこそ、より人間味のある人生を築いてくれることだろう。


春、門出の季節がようやくうちにも来てくれた。


今日は新たな未来と忘れていた過去に乾杯だ。


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