不屈


大きな災害が起こり、多くの命が奪われるたびに自然の猛威の前には人の力が無力であると思い知らされる。


そして、被災されている方々の前向きな、そして気丈な姿には我々自身が元気をもらうことになる。


復興に向けて力強く生きる姿や互いに助け合う姿には、人間の生きる逞しさが見え隠れする。 元気を与える


べき者が逆に元気をもらっているのは、そういう姿を観た時だ。 


これまでも何度も人間は苦難に遭遇し、その度ごとにそれらを克服し、更なる発展を築いてきた。


そういう意味では人の勇気と知恵は偉大であり、その原動力こそが人間が持って生まれた価値なの


かもしれない。 ともすると平穏無事な世の中に埋没し、その価値の存在をも忘れてしまいそうな静寂な


日々を送っていると、それらはきっと、いずれ訪れるであろう災難辛苦の前兆ではあるまいかと思える時


もある。 だから、たとえどんなことが起きようとも、これからも必ず乗り越えていけるに違いないという


不屈の思いだけは忘れてはならないのだ。


今日、またゴトウさんに出会った。 ジムに行くのは久しぶりだった。 風邪を引いていたし、仕事の都合やら


いろんなことがあって、ここ3週間、筋トレをさぼっていた。 


久しぶりに会った。 声を掛けずにはいられなかった。


「久しぶりですね、ゴトウさん。 ちゃんと来てました?」


「週4で来てますよ。」  相変わらず動作は緩慢で関節の動きが硬い。 話をし出すと顔面の筋肉もひきつる


ようでヨダレが出てきてしまう姿はスポーツジムの中では異様に映る。 だから話しかける人はいない。


10月15日に会った時にパーキンソン病を患って7年になると聞いた。 今日は奥さんに先立たれて7年だ


ということを聞かされた。 子供にも恵まれなかったとボソッと呟いた。 パーキンソンを患って、そして奥さん


を見送って今では家で一人になったという。 


世の中に起こる災害は大きなものばかりではない。 身体の中で起こる小さな遺伝子の中でも起こっている。  


いずれそれは顔を出すのだろう。 時限爆弾のように刻々と時を刻んで。


でも忘れてはならない。 人間にはこれまで生き抜いてきた不屈の精神が心の底に宿っていて、どうやって


生きて行くべきかという回路図や案内図がDNAの一つ一つに克明に刻まれているということを。


たとえどんなことが起っても必ず乗り越えて行けるに違いない。 


ゴトウさん、65才。 


彼と出会って、彼の様に真剣に生きずにはいられなくなった自分がいる事に気がついた。 


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