医学部 その6


毎年3月は医学部進級判定会議があるので、気が休まりません。長男の四年生への進級結果発表が今日の昼に大学に


掲示されました。 あれからようやく1年が経ちました。 長い長い1年でした。 去年の3月17日に速達で送られてきた封書


を開封するのと同じくして長男からの電話を受けました。 「お父さん、ごめん。留年になった」とポツリ。 私は信じられ


ないという思いと、1年間の余分な学費約5百万円が肩に圧し掛かってきたようで一瞬言葉を失くし、出て来た言葉は


「じいちゃん、ばあちゃんにも自分の口から説明するんだよ」とだけ言って電話を切りました。 本人もまさかと思っていた


らしく、仲間内でも信じれないという声が多かったようです。しかし、自宅の親に速達で送られてきた成績通知表では


すでに前期の成績で留年が決まっていたようなものでした。秋に行われた面談では 「前期が良くないのでよっぽど


努力をしないと進級は難しい」 との先生の説明。 その為、後期は、まさしく必死に勉強し後期試験は成績も改善されて


いたのですが、前期のマイナスをカバーするほどではなかったのでしょう。 私はその日、長男と話をして3つのことを


決めました。 医学部受験用の塾の講師バイトは即刻辞めること。体育会の空手部も退部。そして過去1年間の約4倍


の勉強時間をとること。 この3つを決めごとにして、あとは長男の部屋に学部長から送られてきた「留年通知」を額に


入れて机の正面に掲げました。 その悪夢のような3月17日からやっと1年が過ぎました。 医者になるというのは大学


に入ってからが大変で険しい山道が待ち受けています。 相当の素質がないと途中で留年を繰り返し、いい年をして退学の


憂き目に合い、その為に生きて行く為に働き口を探しながら、塾の講師で生計を立てるというケースも想定しておかねば


なりません。私は長男が入学した時に学部の先生に「医学部生はノイローゼになる生徒が他の学部と比較すると多い」


と説明を受けました。 大学でノイローゼとは大げさなと聞き流していましたが、今はそのことが良く分かります。 


この高額な学費の支払い負担と記憶すべき膨大な量の医学文献との間で途方に暮れてしまうのでしょう。 あとは人体解剖


です。一人の検体された人体を数ヶ月かけて全て分解することに目を背けてしまう生徒も中には居ます。机の前の勉強が


出来ても通用しない世界が待ち受けているという事です。 つまり要求される医学部生とは「ストレスに強いこと」、「忍耐


強いこと」、「血を見ても動揺しない精神的安定性があること」、それと「並はずれた記憶力を有すること」などの能力が


求められるのです。ならば幼少の頃からそのような教育をするのみ。 もし医者を目指す御家庭があるとするなら、そういう


適性を早期に見抜かねばなりません。 もし適性がある御子息ならば、前述の必要事項に関し、様々な刺激を脳に与え


ながらその能力を伸ばして行くことです。 わずか1.4kgの脳の塊。 その中の砂粒くらいの大きさの脳の断片に10万個の


ニューロンと200万本の軸策、100億個のシナプスがあり、それらが互いに情報をやりとりしています。 その脳を幼少の頃


から如何に刺激し続けるかで医学部の合否と卒業可否、また最終的には医師国家試験の合否が決まるということです。


私は空手を指導しながら、「子供たちがその人生をどのように生きて行くのか」について御両親たちと話し合い、様々な


アドバイスを御呈示申し上げて行こうと思います。 但し、そういう意味では我が家も現在進行形です。 今日、入会


された年少さん達の御両親より約20年先行しているので、この道20年分の資源をいつか御子息たちの将来の為に役立て


させて頂こうと思っています。 我が家は息子を医者にする為の険しい登山の7合目あたり。 其処まで行きつくまでの


道のりについては、どこに何が必要で、どの道を通ればいいのかという要旨を個別にお伝え出来るものと思います。


そんなものでも、いつの日にか、どこかの御家族に役立つのではないかと考えています。 


子供の偉大さを信じ、そのいいところを最大限に引き延ばすことに価値があると考えながら、日々、一人一人の子供たち


に接しています。  子供たちの明日を信じて。


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