夏の終わりに


先月8月24日、インド北部ウッタラカンド州で、ヒョウに襲われた女性が農具で反撃、30分かかって撃退する


という出来事があった。襲われたのはカムラ・デビさん(56才)。スリナガルの病院に運ばれたが、骨折や打撲や


引っかき傷、頭には深い切り傷をいくつも負って50針も縫ったという。


デビさんはヒョウに襲われてまず左手を骨折。そこで鎌をつかんだ右手でヒョウをひたすら殴った。


デビさんは疲れ果てるまで30分間にわたってヒョウを殴り続けた。その後、1キロほど離れた村まで血を流し


ながら歩いて行き、助けを求めた。 そして村人たちが現場に行ったところ、ヒョウは死んでいた。


「勇気を振り絞って反撃した。今ここで死んではいけないと自分自身に言い聞かせた」という記事だった。


いつもならサラッと斜め読みして目に留まらないような記事かもしれない。 でも自分の気持ちと重なるようで


妙に感銘を受けた。 同年代の人であることも心を引きつけたと思う。 こんなことは私には出来そうにない。 


それが読み終えた後の感想だ。 でもヒョウに食われて死を受け入れるのかと言われると、それはそういう訳


にはいかない。 たぶん恐怖に直面したら人はなりふり構わずとなるのが普通なのではなかろうか。  


極真では苦行が待っている。 やらなくてもいい。 しかし極真で黒帯を締めるということは、その苦行に耐えた人


であるということを意味する。 苦行、それは連続組手だ。人は年齢と共に体力は落ち、持続力もなくなる。しかし、


上の帯を目指す人には避けては通れない。 


今回、私は40人組手完遂を目指したけれど結果は30人だった。 これが昭和33年生まれの自分の身体の


限界だった。 あともう少しと思うかも知れないけれど、振り返ってみても、あれが限界だった。 集中できない


自分がいた。 心と身体が一つにならない状態では危ない。


5-6人目で「これは続きそうもない」と感じ。 10-12人で「これ以上無理だ」と思った。 そして20人。「もういい。」


下段も効いてしまっているから動くに動けない。 25人目、集中力が落ちていた。 上段をかすめられ出した。


危ない。 28人目。「何とかあと3人をこなしたい。」心が折れている自分と何とか30人はクリアーしたいという欲。


そんな気持ちが入り混じりながらパンチと蹴りを浴びていた。 30人目。 強い相手がまた目の前にいる。 


応援の声も聞こえる。 「前に出て」、その通りなんだ。 前に出ないと相手は更に追い込んでくる。だから前に


出ないと。 心は冷静であったけど、相手の圧力と下段蹴りで後退していた。 しかし、一歩詰める。 サウスポウに


構えをかえて一歩出る。 でも足が上がらず蹴りが出ない。 パンチだけの応戦が精一杯。


ぶざまな30人組手だった。 昔のように動けない。 守勢に回った連続組手だった。 そこから更に10人は無理だ


と感じた。集中力に欠けた組手は危ない。 30人組手が終わってロッカーで着替える。 足が効いてる。 


ベンチに座れない。 やっとシャワーを浴びて、着替える。 痛み止めの薬を代表からもらって足と手に塗りたくった。 


ロキソプロフェインは飲む痛み止め。 これを代表は常備されていた。 それも早速、2錠飲んだ。 胸や腹もキツイ


蹴りやパンチがいくつか入った。 しかしダメージはそうでもない。ベンチプレスのお蔭か。 効いたのは足と腕。


下段払いと外受けで肘から前腕の色が変わっていた。 足は言うまでもない。 左足の指も赤く変色している。 


いつどこでやったのかわからない。 ロッカーのベンチで休んでいても、その後道着を脱いでも汗があふれて来る。 


必死だったんだと改めて思った。  カムラ・デビさんには及ばないにしても自分のレベルでは一所懸命の時間を


過ごしていた。  長い長い今年の夏が漸く終わった。 


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