49年後


5歳~11歳くらいの子供たちの中には泣きべその子、お調子もの、我慢強い子、自由奔放な子。


そしてこの子供達を見守るご両親たち。 子供達を見詰める心配な眼差しに自分自身を重ねて


しまうことなど実は度々あって、懐かしくもあり、お母さん、お父さん、もうちょっと我慢ですよと


言いたくなる場面も多々あります。子供の稽古で親が我慢するなど変な話ですが、声をかけたくなって


しまうし、叱咤激励の気持ちで背中を押してあげようとするのも親心。 分かっています。


でも、子供たちは、そこの峠を越えれば成長する、その局面を乗り切れば一回り大きく成ると


創造出来るときには実は親御さんは傍に居ない方が子供のためになると思っています。子供たちは


自分の力で急な坂道をよじ登って行けるのです。 その達成感が自信につながるのだと思います。 


昔、いくら突き方を教えても猫パンチしか出さない次男に、このまま空手をさせていていいものかと


自問自答していたのは、もう12年も前の事。そしてその子が5年生の時に試合に出ようとしていた


前の晩。張り切り過ぎて熱を出して結局、試合に出たのは6年生の時。


しかし、その次男、初めて出た試合で対戦することになった相手は前年度の全日本ベスト8。 


いきなり、こんな相手が。運の悪い奴だなと我が子を憐れんでみたものの、今更逃げるわけにも


行かず、そのまま試合に出させました。 私の立てた戦略はこうでした。 相手は蹴りが上手いから


必ず試合開始と同時に上段蹴りが跳んでくるから、それはかわすこと。 あとは小学生は腹筋が


まだ出来あがってないのでボディーへの攻撃を集中すること。これだけを伝えて背中を押しました。


予想はまんまと的中。 世の中分からないものです。 観客の予想に反してボディーを下突きと


前蹴りで強打すると、次第にベスト8の子供は顔をゆがめ半泣きで堪えている状態に。 


試合に初めて出た次男は、これで本戦で勝ちを修めて戻ってきました。 子供より私の方が信じ


られない勝ち方でした。 


親は試合の中には入ってはゆけません。 試合場に立てば大人も子供も一人です。 自分で


やるしかありません。 そんな経験を子供は見事にやってくれてその成長ぶりを見せてくれたのです。 


ある日出くわす子供の成長は、度々味わえる訳ではなく、そしていつ味わえるのかもわかりません。 


しかし間違いなく出会える、その瞬間を楽しみにして頂きたいと思いながら日々指導しています。 


他の道場に顔を出す機会があると昔、中学生だった子供が高校に。高校生だった子は社会人に。 


面影はあっても別人のようです。もちろん突きも蹴りも威力が格段に違う。 そんな時にこの子も


人知れず努力して頑張って来たんだと感じます。 子供達は日々成長している。 目には見えない


程度だけれども日々考え方も変わり、体つきも変わります。 昆虫のように脱皮したり、さなぎに


なったりしないので、近くで一緒にいるとその変化が分からないだけです。 


人間はその場に留まらず間違いなくプラスにもマイナスにも変化しています。そして感動したことは、


いつまで経っても忘れないものだとつくづく思います。 


先日NHKで7歳の子供達を7年ごとに撮影し現在56歳になっている人たちのドキュメンタリーがあり


ました。 良く撮れたものだと思います。 それも49年間も何人かの行く末を追い続けるなんて凄い。 


引っ越しをして結婚・離婚を繰り返す人。  昔、子供の頃に語った自分の夢をそのまま実現している人。 


様々です。  現在のその人の映像と子供の頃、高校生の頃、大学生の頃の会話、その後、職に


就いた頃の会話。 一人の人生がそこにありました。 そこに映っていた子供たちは思っていた


ような人になって、そういう人生を歩んでるのです。 やはり人間、幼少のころ、小学校のころの


純粋な心にどんな人生を描いてあげるか非常に大事なんだと思います。 


日々子供は成長しているので、その子供達に感動を与え、そしてそうなりたいと思わせる紙芝居


を見せてあげていると、純粋な心であればあるほど、やはりそうなるものなんだと、あらためて


そう思いました。 


私は子供にはお節介を焼くのが好きな方でしたけれども、今思うのは、それはマイナスであって、


子供にはあまりあれやこれやと世話はやかない方がいいということ。 それとただ、将来の紙芝居


を見せてあげるだけで十分、子供は理解し自分で心に焼き付けて行くものだと思っています。


長男が7歳のころ医者のいいことばかりを話してました。 14歳のころ、夢をあきらめそうになって


いました。21歳にころ、まだ夢の途中です。 来週長男は24歳。その夢が実現するのには、まだ


あと2年半が必要です。 その夢が叶うまで、あまり近づきすぎないで見守っていようと思います。


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